5月としては記録的な暑さが続きました。汗をかいて脱水症状が起きると、夏でも脳梗塞のリスクが高まるようです。重い後遺症を残さないためにも気を付けたい【脳梗塞】についてのご質問にお答えします。

Q.血流改善に水素ガス吸入が良いそうですが「脳梗塞」にどのような効果があるのか教えてください。

50代男性
同世代の友人が、先日脳梗塞で倒れました。
健康そうに見えていたので、驚きと共に自分自身の健康についても考えるようになりました。
そんな時、血流改善に水素ガス吸入が良いと知りました。
脳梗塞にどのような効果があるのか教えてください。

A.山口醫院 山口貴也院長

水素ガス吸入治療法は、2016年厚生労働省の先進医療Bに承認されました。
慶応義塾大学病院では、心肺停止後症候群による脳の酸素不足のダメージを水素によって軽減する世界初の治療法として取り入れています。

厚生労働省平成26年調査によると、脳卒中を含む脳血管疾患の患者数は118万人、うち約14%の17万人が就労世代の20~64歳です。50代男性は約4万人、女性は約2万人と男性の割合が高くなっています。

脳梗塞は、脳の血管が詰まることで脳の一部に血液が届かなくなり、手足の痺れ、動かしずらさ、平衡感覚がとれなくなる、ろれつが回らなくなるなどの症状や、視野が欠ける、じわじわと認知症が進むなどの症状が現れます。
急激に症状が出た時の治療は、点滴による血栓溶解療法やカテーテルを使った血管内治療が進んできています。
しかしながら、依然として日本人の死因の上位である疾患であること、多くの場合は後遺症によるQOL(生活の質)が低下してしまうのが現状です。
このQOL改善のために、慶応義塾大学病院では水素ガス吸入療法を取り入れているのです。

脳梗塞の原因は、加齢、高血圧、高脂血症などによる動脈硬化で促進が起こります。また、国立循環器病研究センターによる脳梗塞患者の季節差による調査研究によると、脳動脈の動脈硬化が原因となるタイプの脳梗塞は、脱水などを契機とするので暑い季節にも注意が必要であると報告しています。

水素には、悪玉活性酸素の除去を行い一酸化窒素が増えることにより血管拡張が起こり血流が良くなる効果のあることがわかっています。
また、血液中に溶け込んで細胞膜に浸透してミトコンドリアや細胞核に働きかけ脳細胞の酸化を防ぐこともできます。

脳梗塞は、血流と血管の衰えによる疾患です。生活習慣の改善と高濃度の水素ガス吸入を日々の生活に取り入れることで、脳梗塞の予防にお役立てください。