腰の痛みやこわばりがあり10~20代の若年層で発症する【強直性脊椎炎】は、診断がつき難いことや原因不明であることから精神的にも辛い思いをされている方が多いようです。
お母さまからのご質問です。

Q.息子が「強直性脊椎炎」を発症しました。「水素ガス吸入」はどのような効果があるのか教えてください。

60代女性
40代の息子が「強直性脊椎炎」を発症してしまいました。
若い頃は痛みがあるけれど歳をとれば痛みが治まるので、とりあえず我慢すればよいと息子は考えているようです。
病気について調べてみると、直接の死因とはならないようですが、心筋梗塞で亡くなる方が多い、腰が直角に曲がってしまう症状がでるなど、これからのことがとても心配です。

水素で良くなるようでしたら、息子に勧めたいと思っています。
この病気に、水素ガス吸入はどのような効果があるのか教えてください。

A.山口醫院 山口貴也院長

「強直性脊椎炎」は、脊椎や骨盤、股、膝、足、肩など手足の大きな関節に炎症が起こる原因不明のリウマチ性疾患です。
男女比は3:1と男性に多く、ほとんどが10~20代で発症し、病勢のピークは20~30歳代で、40歳代に入ると次第に沈静化するのが一般的です。
原因の特定はされていませんが、遺伝的要因、細菌感染による免疫異常、飲食物や化学物質などの環境による影響が考えられています。

腰背部、殿部、項部など脊椎の周辺や股関節、膝関節の痛み、全身のこわばりや倦怠感、発熱などの症状があります。
病状が進むにつれて、激しい痛みと入れ替わるように脊椎や関節の動きが悪くなり骨性に固まって動かなくなる強直を生じることがあります。
体を屈伸することが難しくなり日常生活の動作が困難に、脊椎は次第に前に曲がり前屈みの姿勢となります。
しかし、すべての患者さんが強直するわけではなく、高齢になるまでに全脊柱が強直する人はおよそ1/3です。
老年期に入ると激しい痛みは減り、こわばりと倦怠感などが主体になります。
また、強直性脊椎炎から呼吸器系の疾患、心筋梗塞などを発症する方も見受けられます。

残念ながら、まだ原因がわかっていないことから根本治療はありません。
炎症による痛みを消炎鎮痛剤や抗リウマチ薬などで抑えながら、積極的に体を動かすことで前屈での強直を防止したり、遅らせるようにします。
長期罹患により骨粗鬆症が起こりますので、特に首の骨が軽微な外傷によって骨折が起こり、脊髄の損傷を併発すると手足の麻痺や呼吸障害を起こすことがあるので、ケガには十分注意する必要があります。

水素には、抗酸化作用、抗炎症作用、抗アポトーシス作用があります。
水素は、血液中に溶け込んで体中に循環して細胞膜に浸透し悪玉活性酸素の除去、老化や病気の原因となる細胞膜の酸化を抑制する、細胞にエネルギーを与えるミトコンドリアの機能をあげることがわかっています。
水素を吸入することで、炎症が鎮静化して痛みが減る、免疫力が向上する、血管拡張が起こり血流がよくなることで血管の疾患予防が期待できます。

水素ガス吸入治療法は、2016年厚生労働省の先進医療Bに承認されました。
慶応義塾大学病院では、脳梗塞による心肺停止後症候群による脳の酸素不足のダメージを水素によって軽減する世界初の治療法として取り入れています。
血管の詰まりによる疾患である心筋梗塞にも効果が期待できます。
痛みの緩和に、ご心配されている心筋梗塞の予防に、高濃度の水素ガス吸入を取り入れることをお勧めします。
原因に対する治療では有りませんが、水素により炎症を抑える事は可能と考えられます。

どうぞお大事に。